●八王子市民講座(全8回)


■第3回講座

 7月23日(土)午後6時~

3・11以降を生きる~八王子の放射能と食の安全~


3・11以降、私たちは毎日の暮らしのなかで、子どもたちや大切な人の健康・安心を築くために、どんなことに気をつけていけばよいのでしょうか?今回で3回目となる八王子市民講座では、身近な暮らしを取り巻く放射能汚染をテーマに、「食の安全」と「放射能の危険性」という2つの切り口で分科会を開催し、市民どうしで考え、話し合うためのテーブルディスカッションを行います。また、特別ゲストとして、チェルノブイリ原発事故を背景に、長年にわたって市民の手で食品の放射能測定をしてきた「小金井市放射能測定器運営連絡協議会」からお二人をお迎えし、放射能汚染に対する市民の取り組みを学びます。誰もが安心して地域で暮らしていくために、私たちに何ができるのか、市民みんなで考えてみませんか?皆さんのご参加をお待ちしています。

ゲスト:香田頼子さん(小金井市放射能測定器運営連絡協議会・会長)
中嶋 直子さん(同・測定部長)

分科会A 本当に「健康に影響なし」?  ∼見えない放射線をどうみるか∼

  • 暫定基準は「安全」基準じゃない
  • こんなに違う? 放射線の影響評価
  • なぜ八王子で測る必要があるのか など

分科会B みんなで考える、これから何を食べていく?

  • 食品の放射性物質暫定基準値
  • 出荷制限にかかわる検査体制
  • 放射能が蓄積されやすい食品
  • 製造・販売における産地表示
  • 八王子市の給食への取り組み など

日時: 7月23日(土)午後6時~(開場:午後5時45分)
場所: 八王子労政会館・ホール(八王子市明神町3-5-1 TEL:042-645-7451) 地図 http://is.gd/z0yUTC
資料代: 500円 (予約不要、中学生以下の方、障がいをお持ちの方とその介助者は無料)
託児: 予約制(下記のお問い合わせ先にご連絡ください)

 


2011年8月4日(木)

小金井測定室ツアー  〜質問と回答〜


 

第三回講座でお世話になりました小金井市放射能測定器運営連絡協議会の測定室に見学させてもらう事になりました。

講座スタッフ、公募で参加された方総勢20人超となるツアーとなりました。印象的だったことは、見学に応対していただいた方の説明が誠実さと温かさに溢れていたことでした。「21年間続けられたのは、お互いの人間関係がよかったから。そして、継続できたモティベイションは脱原発のへの思いだった」と語られました。市民から嫌な思いをするようなことは一度も言われたことがないとのお話に、「この方たちにはだれも文句なんか言えない」と思ったことでした。 地道に測定を継続されてきたことに、脱帽の思いで、今日のツアーを終えました。

以下、運営方法、市との関係、機械の維持管理の仕方などの質問とその回答です。

1)組織について:スタッフの人数、会計や広報(HP担当)など役割分担など。

現在会員は17名で、測定スタッフ7~8名 新人2~3名(練習中)会長、副会長、会計、書記、監査、各1名 総務部、学習部、測定部あり。

2)契約・規約関係:規約書、誓約書など文書の取り交わしは?

小金井市放射能測定器運営連絡協議会(正式名)の規約あり。小金井市との取り決めは「放射能測定器運用規約」がある。市の総務部作成書類は以下の3点:運用契約書、運用契約に基づく附属協定書、小金井市測定事業取り扱い要領)

3)運営方法:測定当番の決め方など。

市の経済課へ市民が申し込み、その後、検体を測定室へ市民が持ってきて、測定を依頼。結果を測定室から市民へ直に(電話などで)伝える。(この伝える点を、ほぼ一人が担当。依頼者の気持ちを考えながら細かく気を使って伝えるようにしている。)
協議会の内部ミーティング:毎月1回定例会を開き、月の測定当番を決める
市との打ち合わせ:年1回のミーティングと年間報告書提出。普段の電話のやり取り(機器の点検や測定依頼など諸々)でコミュニケーションが取れている。

4)測定器について

機種選定  キャンベラ社のシンチレーションディテクター
メンテナンス(放射性物質が含まれている可能性のある食品を扱うので、測定器の日々の手入れや測定室の掃除などで特別に気をつけていることはあるのか?)
定期メンテナンスは年3回、1回78000円 (市から30万円の維持管理料)。
突発的な故障でメーカー担当者に来てもらうことがある。別途いくらの費用が発生かは市が担当しているのでわからない。
日々のメンテナンスで気をつけていること: 熱・水に弱いので気をつけている。湿度は気にしていない。検体を入れる容器は水洗いし乾燥させて使う。食材などの検体は冷蔵庫に保管(放射性物質が含まれている可能性のものではあるが、特に防護などしていない)。

5)市や小金井市消費者団体連絡協議会との連携方法・内容

市とは21年間の間に仕分け対象になったこともあったが、徐々に良い関係を築いてきた。請願が通っても、なかなか設置が進まなかったのは、市が測定業務を嫌がったから。市民がボランティアで測るということで話は進展。市が機械を設置し、メンテナンス、場所も提供し、測定は協議会(市民)が行っている。
小金井市消費者団体連絡協議会(消団連:市内12団体で構成、大きな団体で影響力がある)の協力を得ることが市からの要求にあった。消団連の理解を得る為に消団連に入会し、行事に参加したりして良好な関係を築いてる。消団連のお祭りに参加し、測定室の活動報告や原発についてのパネル展示、語りかけなどを通して、地域との繋がりができた。

6)市民から良くある相談内容や、日々の業務で困っていること

窓口は市なので、申し込む段階で市民は苦情を言うこともあるらしいが、自分たちには市民から文句などを言われた経験はない。市民が測定していることへの理解が浸透していると思う。

7)土や水の測定について

測定器の性能としては測れるけれど、市がOKしてくれないのはなぜか?
測定室は消費者行政の一環として位置づけられ、経済課の領域だが、土壌や雨水は環境課の領域だから。
市民が持ち込むものを測る一方、スタッフが「テスト測定」として検体を用意し測ることもある。特に水道水については定期観測の必要性を感じている(小金井市の水道の7割に井戸水が含まれる為)。ただし、テスト測定の結果は公表しない。

8)測定データの記録・公表、 記録の残し方、公表の仕方

以前は、測定室だよりに掲載。今はHPで発表している。
暫定基準値を超えたものは市との協定により公表できない。なぜできないか?の問いに、「藤沢市の先例に学んだこともあり、消費者運動としてとらえられたことから、メーカー(生産者?)とのトラブルを市が懸念したのかもしれない。しかし、基準を超えたものの公表こそ大切なので、この点は協定を変えたいと思っている。」
昨年までは年報(紙)を作成し、お祭りで配ったり市の各種お知らせを配布場所に置かせてもらったりして、活動内容を多くの人に届ける努力をしていた。

9)公表した場合に風評被害関連などでクレームが来たことは?

小金井の野菜を測定して数値が出た時、農業団体から2度、クレームが経済課に来た。経済課はあまり取り合わなかったらしい。その後、この農業団体も測定の意義を理解してくれたようで、「むしろ測定した方がいい」と思うようになってくれたようだった。

10) 測定器の再校正は行っているのか?その頻度と費用はどのくらい?

メンテナンスの時に行っている。(費用はメンテナンスに含まれている)

11) 長期間使用してきたことで測定器に性能上何か問題が出たことがあったか?

何度か故障して、修理に出したこともあるが、21年間、よく働いてくれた。特に、3.11以後は毎日よく働いている。

12) 測定用ビーカなどの消耗品の予算はどの程度

あまりかからないし、全て市が費用を出している。

13)3.11以前、ほとんど検出されない状況でも継続する力になっていたものは何か?

脱原発への願いと、自分の子を守りたいだけでなく、全ての子供を守りたいという気持ちかもしれない。年に一度、りんごを青森から取り寄せて売り、その収益をチェルノブイリの子供たちに送ってきた。また、パネルを作り、脱原発を市民に呼び掛けてきた。測定室はその脱原発の発信の場ととらえてきた。
もうひとつは連絡協議会メンバー同士の信頼関係。信頼している仲間と楽しみながらやってきたので続けてこれた。

その他

チェルノブイリ以降、同様の測定室が藤沢市、中野区、柏市にできたが、中野区と柏市は今はない。(中野区は区が測定していた事業をやめた。柏市は数年前に測定器が壊れ、新規機種を買ってもらえず測定団体は解散してしまった)。小金井市の連絡協議会では、「(地震列島に原発を作っているため、事故の可能性がある限り)絶対に手放せない」と言う気持ちで頑張って続けてきた。